仏式バルブの空気の入れ方

今さら、人に聞けない自転車基礎知識シリーズ第一弾です。シリーズ続かなかったらすみません。長年のショップ勤務で、意外と知らない人が多い案件の代表格がコレかなと個人的には思っています。

勤務していたショップでよくあった会話「すみません~、空気入れ(仏式用ポンプ)貸してください」「お店の外に置いてあるので自由に使ってください」「お借りしま~す」(しばらく経って)「あの~。すみません、空気がうまく入らないんですけど…(入れ方がわからない)」このパターン非常に多いです。

※注).バイシクルサポートでは空気入れの無料サービス(ポンプの貸し出しも)は行っておりません。空気入れは100円/タイヤ1本(税抜)の有料作業になります。無料サービスの自転車屋さんが多いかもしれませんが、弊店はメンテナンス専門ショップのため、ココを生業にしておりますので、空入れ作業にも作業工賃をいただいております。

さて、仏式バルブ問題ですが、日頃からご自身で作業をされている方からすると、基本の『き』以前のレベルの話かと思われるかもしれませんが、けっこう知らない方が多くいるメンテナンス作業なのです。初めて仏式バルブの自転車を購入した場合には、お店のスタッフさんが納車時に教えてくれているはずです。ただ、新車納車のワクワク感でなかなかそのタイミングでは講習内容が頭に入らないということもあるかもしれません。そして、初めて空気を入れるタイミングはしばらく経ってから、その時に?となってしまう方が多いかと思います。

それでは解説していきます。

仏式バルブって?

日本語ではフレンチバルブ(FV)とか仏式バルブと呼ばれていますが、英語表記は Presta Valve(プレスタバルブ) とされる場合が一般的です。なのでポンプの対応表記に頭文字の「P」があったりします。空気圧の調整がしやすく、高圧のタイヤにも対応しやすい構造なので、スポーツサイクルではスタンダードなバルブの形式です。一般的には、ロードレーサー=仏式、と解釈してもらってOKです。クロスバイクやMTBでも多く使われています。モデルによってはバルブ先端(バルブコア)を外して、エクステンダーでバルブ長を延長することができます。スポーツサイクル向けによくできているメンテナンス性に優れたバルブだと思っていだければいいかと思います。

空気を入れる頻度(タイミング)は?

アダプターで英式バルブ(ママチャリの形式)に変換して、普通の空気入れで対応させる方法もありますが、基本は「専用ポンプ」で空気を入れるものだとお考え下さい。ご自宅に専用のポンプを用意していただくことがおすすめです。相場として4,000円くらい~の物がいいかと思います。廉価なものはエアケージ(空気圧を見るメーター・下写真)がなかったりしますので、あまりスポーツサイクル向けではありません。携帯用の小さいポンプも必需品ではありますが、まずはしっかりとした『フロアポンプ』を用意しましょう。

仏式バルブのメリット:空気圧が管理しやすい
空気圧がチェックできるフロアポンプが必須
  • 定期的に空気を入れる
  • 適正な空気圧を維持する

適正な空気圧を守っていれば、入れる頻度が多くても問題ありません。あくまで目安ですが、高圧なタイヤのロードレーサーの場合は1回/週、それほど高圧ではないクロスバイクやMTBは1回/2~3週、でしょうか。ロードの場合はこの頻度は必須です。クロスバイクやMTBでも、さぼっても月に1回は必ず空気を入れるようにしましょう。空気がしっかりと入っていないと、パンクが誘発されやすくなります。

適正空気圧はタイヤの側面に表記されていますので、その数値が基本になります。psiもしくはbar(気圧)・kPaの単位で推奨空気圧がタイヤに必ず表記されています。100psi≒7barがおおよその換算になります。タイヤの推奨値に従うことが原則ですが、ロードレーサーが7~8bar、クロスバイクが5~6bar、MTBが3~4bar、この辺りの空気圧の場合が多いと覚えておいてもいいでしょう。※最近、増えてきている「チューブレス」タイヤは、これまでより低い空気圧で使用する設計になっているものが多いです。

仏式バルブの空気の入れ方

バルブの位置を地面の反対側(真上)にすると作業しやすい

ショップでは、この位置にバルブを持ってきて作業することが多いですね。断然、作業性がいいです。バルブの先端を誤って曲げてしまうことを避けやすいポジションです。

①バルブキャップを外す

まず、バルブのキャップを外します。キャップは無くても機能しますので、ロードの方々はつけていない人も多いですね。

②バルブの頭のネジを緩める

先端のネジを、手で最後まで緩めます。※バルブコアが外せるタイプは、キャップごと全部外れてしまうことがありますのでご注意ください。写真のタイプはバルブコアが外せないものです。

全部緩むところまで。
最後まで緩めると、そこで止まります。
先端のネジが外れてしまうことはありません。

仏式バルブはこの状態になってはじめて空気を入れることができます。この状態でポンプをセットします。写真のようにポンプヘッドのレバーを持ち上げると、ポンプの口金部分がバルブにロックされて空気を入れる準備が整います。※このロック方法がポピュラーですが、ポンプの種類によってはロック方法が異なりますので、それぞれのポンプの説明書に従ってください。

ポンプの種類はいろいろあるので、使い方はそれぞれの説明書をチェック

そして、適正な空気圧までケージで確認しながら空気を入れましょう。

ポンプのロックレバーをもとに戻して、バルブからポンプヘッドを外します。この時バルブが地面に対して真上にあると、まっすぐ下に外すことができるので、バルブを曲げたり、折ったりしてしまうトラブルを回避できます。

外すときに無理な力をかけたりすると、バルブの破損につながるので注意

先端の緩めたネジを再び手で締めて、キャップを取り付けて空気入れ作業の完了です。タイヤに空気を入れることは「必須メンテナンス」ですので、ぜひ自分でできるようになりましょう。

※最後に、よくある「空気が入らない」時の対処法(コツ)

手順通りにポンプをセットして、空気を入れても入っている手応えがない。ケージの針が大きく振れるけど、またゼロの方に戻ってしまう。こんな時は、空気は入っていません。これは、けっこうよくあるパターンです。

そんな時は一度ポンプを外して、写真の要領でバルブを指で下に一度(1~2秒程度)押し込んでください。「プシュー」とチューブの中の空気が抜けます。そして、再度ポンプをセットして空気を入れる。バルブの中にある空気弁が固着していて、先端のネジを緩めただけでは空気が入らない時の対処法です。一度、軽く空気を抜くことで、空気弁の固着が解消されて、空気が入れやすくなりますよ。