ギア比について、あれこれ。

オーダー車やセミオーダーシステムの完成車でない限り、購入時には選べません。その自転車の用途やメインターゲットのユーザー層を想定してアッセンブルされています。

ギアの歯数の組み合わせ変更は、よくご相談を受ける作業の一つです。個別のカテゴリー(例えばロードレーサー/シマノ2×11段の場合など)に限定すると解説するポイントが絞れますが、自転車全般のギア構成となると、いろんな周辺パーツの基礎講座から学ばなければなりません。いわゆる「互換性」が多岐に派生して行きます。興味ある方はコツコツと調べてみましょう。

ということで、全てだと大変な解説になってしまうので、今回は基本的なポイントを箇条書きで。

■ギアの段数によって制約があります。

シングルギア、内装or外装、1×〇段、2×〇段、3×〇段、etc.

基本、同じ段数の部品の中で選ぶ必要があります。ただし、モデル(異なるメーカー、構造の違い、など)によっては同じ段数でも互換性がなかったりします。また、段数自体を変更する場合はもちろん全交換が基本ですが、どこまで互換性に影響を受けるかで必要な費用が大きく変わります。

■車種のカテゴリーによって制約があります。

ロードレーサー、マウンテンバイク、普通の自転車、etc.

フレーム設計時に使用するコンポーネントカテゴリーが想定されています。逆に言うとコンポーネントはフレーム設計を基に作られています。チェーンライン設定やフロントチェーンリングの大きさのクリアランスやリアエンド幅(形状)などが影響してきます。クロスバイク小径車など折衷的な設定がされている場合があったりして、複雑なケースもあります。

■キャパシティ(歯数の組み合わせの限界)があります。

多段ギアでの場合ですが、リアディレーラーが作動できる歯数の範囲があります。単純にリアディディレーラーが対応するロー側最大の歯数トータルキャパシティといわれるフロント多段の場合の限界値。また、フロントディレーラーも対応するチェーンリングの歯の大きさの範囲が設定されています。ただし、フロントは現実的には、楕円ギアだったり、サードパーティの特殊な大きさだったり、範囲外でも何とか調整せざるを得ないケースもあったりします。

※トータルキャパシティ=(フロント最大ギア-フロント最小ギア)+ (リア最大ギア-リア最小ギア) 。例えば、フロント50-34T×リア11-28Tなら(50-34) +(28-11)=「33」がトータルキャパシティ。

■そもそも自分に適正なギア構成は?

  • 自転車を使用する目的
  • 体力・脚力でかなり個人差があって正解はない
  • 漕ぎ方のスタイル
  • 基本は車種にあったギア比の範囲で

といったところでしょうか。単純に「登りがつらいから軽いギア比が欲しい」はプランが提案し易いです。ただ、スピードを出したいといった場合(小径車以外で)、ギア比はペダルの回転数と密接に関わってきますので、まずは自分のペダル回転数を見直してみるのもいいかも知れません。※その場合、ペダル回転数計測できるメーター必須。

ギア回りの交換作業のご相談のご依頼は…

まずは現状の実車を拝見させていただいた方が助かります。オーソドックスなケースは判断し易いのですが、変則的な場合「メーカーさんの提供している規格データ」&「対象の自転車のサイズ規格」を確認しながらのお見積り作業になります。

「ボトムブラケット規格」多過ぎ問題について

昔はボトムブラケット(以下、BB)規格は「JIS」?それとも「イタリアン」?で済んでました。90年台頃からMTBが流行り始めると「68㎜」「73㎜」「70㎜」のどれ?。キャノンデールが「SI(システムインテグレーション)」を提唱してBB30が登場して、「?」となって、他メーカーが次々と追随して、「フレームメーカー独自規格」が多数存在するようになって昨今、まさにBB規格は「??????…」な理解不能状態の方も多いのではないでしょうか。

具体的な規格の解説は、メーカーサイトや解説本などがありますので、そちらに任せるとして、今回は少しBB規格問題について論じてみたいと思います。

すべてが近年に始まったわけでなく、昔でもゲーリーフィッシャーやクラインが独自規格のBBを採用していたり、BMXやビーチクルーザーなどは独自のサイズ規格で成り立っています。

なぜ、BB規格にこだわるのかを紐解くと、クランクとの関係が密接に影響してきます。乗り手のパワーを自転車に伝えるために非常に重要なパーツの一つがやはりクランクです。クランクを軽量で高剛性な物にするため、中空構造で大口径化がされたことがフレームのBB規格独自化の最大の理由でしょう。

従来の□(四角)テーパー軸のBBでは軽量かつ高剛性に仕上げるにはどうしても限界があります。ということでBB軸がなくなって、クランク自体にBB軸を組み込んでしまったのです。過渡期では□テーパー軸でなく、BB軸の径を大きくした嵌合式のテーパー軸BBなどもありましたね。

・シャフト(軸)は部品としてBBの一部

・シャフト(軸)は部品としてクランクの一部

現在では、仕様によって、まずここで大きく分類されますね。ハイエンドな商品では、ほとんどがクランク側にシャフトがあります。廉価版普及モデルだったり、クラシカル路線以外ではこの構造が主流です。

また、技術の進歩でひと昔前に比べると、フレームの進化は著しいものがあります。進化したフレームの性能を最大限生かすためにフレームメーカーにとってもBBの規格は重要なポイントです。せっかく高剛性のいいフレームを作ってもクランク&BBの剛性が落ちると、せっかくのフレームの性能をスポイルしてしまいます。そこで「SI」コンセプトのように、クランク&BBをフレームの一部として設計する発想が生まれてきたわけです。さらに、メリットとして、フレームのBBスレッド(ネジ切構造)を失くしてプレスフィット(圧入構造)化することによって、「軽量化しやすくなったこと」や「Qファクター設計の自由度があがった」などがあります。カーボンのロードではこのプレスフィットBBがもはや完全に主流ですね。

と思っていたら、最新規格ではT47といったPF30規格フレームにネジ切をしたようなものも出てきて、なんか一周回ってきました。軋みやすいプレスフィットの弱点を補った上で大口径化が狙いだとは思いますが…。「?」は永遠に続きます。

フレームメーカーにとってはフレームのパフォーマンスを活かすためには最適化したBB周りの付属部品が求められます。また、部品メーカーにとっても、クランクのパフォーマスを最大限活かすためには専用のBB構造が必要になるといった発想になるのは当然です。時代の変化として、最新ハイエンドバイクでは、「自分で部品をアッセンブルして自転車をアレンジする」ではなく⇒「最適化されたパーツ構成の完成された自転車をメーカーが供給する」といった流れなのかもしれません。個人的にはつまらないと思うところもありますが、とくにコンペティティブなロードの世界では合理的な発想なので当然の流れだと思います。

パーツ変更や新しいパーツの導入の際に必要になってくる知識としては、ひとまずは以下の点を押さえておいてください。メーカー規格の名称で判断もできますが、図の3か所の実際の形状&数値と「クランク (モデル名) の種類(…シャフト長も違います)」とで基本的には判断できる場合が多いです。

各社よりさまざまなコンバーターBBがラインナップされていますが、中には組み合わせが不可能なケースもありますので、その点はご注意ください。

正直言ってお店の工具、設備投資も大変です。

当店の対応状況は95%くらいだと思います。すべてのBBの作業が来てすべてにすぐ対応出るとは言い切れませんが、ほぼ何とかなる準備はしているつもりです。

次回は「ヘッドセット規格」多過ぎ問題…です。(かもしれません)

その次は「エンド幅」問題…、と続くかもしれません。

BB交換作業工賃…3,500円(税抜) ※スタンダードなプレスフィット系BB場合の料金