地味だけど重要なワイヤー類の話 その②

今回はワイヤーの種類について

当店で修理対応に使用しているワイヤー類(標準的な作業の場合)

※いずれも税別/作業工賃は別途

シティサイクル向けブレーキワイヤー

吉川ブレーキ(YSB)/スチール製セット

  • フロント一式…400円
  • リア一式…450円
いわゆるママチャリ向けお手頃ブレーキワイヤー。シティサイクルの場合、工賃込みで1ヶ所あたり1,000円程度で交換可能です。

クロスバイク・MTB向けワイヤー類

シマノ/ステンレスワイヤー各種

  • ブレーキインナー…300円(1本)
  • ブレーキアウター1台分…600円
  • シフトインナー…350円(1本)
  • シフトアウター1台分…700円
シマノのワイヤー類(ステンレス製)

ロードバイク向けワイヤー類

  • シマノのスタンダードなステンレスワイヤー…上記、クロス・MTB向けと同価格
  • シマノ/オプティスリック仕様シフト一式…2,066円
  • シマノ/ポリマーコーティングブレーキ一式…3,623円
  • シマノ/ポリマーコーティングシフト一式…3,909円
  • カンパ/ブレーキインナー…947円(1本)
  • カンパ/シフトインナー…962円(1本)

などなど、特にロードバイク系コンポーネントの場合、こっけうバリエーションがあります。互換性の中で制約はありますが、最近のシマノ系上位モデルだと選択肢が複数あります。

ロードバイクの場合、ワイヤー類は「こだわり」のパーツであったりもします

基本、スポーツサイクル系の作業の場合は、すべてシマノのステンレス製を使用していますので、スタンダードな料金での交換作業でも性能・耐久性は十分かと思います。

もちろん、作業は自分でやるというDIY派の方向けに「ワイヤー単品」での販売もしています。どれを選べばいいのかわからない方でもお気軽にご相談ください。

当店では一般のシティサイクル用からハイエンドロードバイク用まで、いずれも基本的な消耗品ですので常時在庫をしております。交換作業工賃を含めた総額は車種によって違いますので、詳しくは個別にお問い合わせください。

地味だけと重要なワイヤー類の話 その①

ほとんどの自転車では「ブレーキ」や「シフト」の操作は”ワイヤー(ケーブルとも呼びます)”を手元のレバーで動かして行います。

一度セッティングしてしまえば永久的に使える物であればいいのですが、そうはいかないのがワイヤー類の構造の特徴です。使用しているうちに少しずつセッティングがズレてくるので、ワイヤーの「張り具合(テンション)」を定期的に再調整する必要があります。また消耗する部品ですので定期的に交換が必要です。錆びてしまったり、変形してしまったり、ほつれたり切れたりすることがある部品です。

「シフター」と「ディレラー」を繋ぐワイヤー(ケーブル)の模式図

ワイヤー類の構成部品は、外側の「アウターケーブル」と内側の「インナーケーブル」とがあります。そして、ケーブルの末端にはそれぞれを保護する専用のキャップ取り付けられています(※キャップは仕様によっては必要ない場合もあり)。

明らかに見た目でわかる箇所が錆びてしまって動かない状態や、切れてしまっている場合などは、交換の時期の判断がし易いとは思いますが、意外と見えない部分が傷んでいたりして、シフトやブレーキの操作がスムーズでなくなったりします。

見えない部分のワイヤー類が消耗するとどうなるか、具体例を見てみましょう。⇓

錆びたインナーケーブル。アウターケーブルの内側に隠れている部分が茶色のサビが付着。
一見きれいに見えますが、シフトアウターケーブルのキャップを外してみると…
新品と比べてみると先端がかなり傷んでいます。
キャップが割れている場合も操作性能にはマイナス。さらに消耗すると、最終的にはアウターケーブルが破損してしまいます。
コチラはロードバイクのブレーキアウターケーブルの具体例。
普段見えない箇所ですが、使用していくうちに劣化していきます。

ということで、当然

ワイヤー類は消耗品です

…を前提に自転車のメンテナンスをする必要があります。

基本ワイヤー類は金属製なので、長期保管(良好な状態で)による経年劣化はあまりありません。どちらかというと「乗れば乗るほど」消耗していく部類のパーツです。使用頻度の多い方でしたら1年に1回程度の交換がおすすめです。ワイヤーが原因で動かなくなっている場合はもちろんですが、新品のワイヤーに交換することによって、「ブレーキ」や「シフト」の操作感が断然良くなります。

※交換作業工賃は1,500円/1ヶ所が標準費用です。ケーブルの値段はグレードがいろいろありますが、1,000円前後/1ヶ所あたりがスタンダードなケーブルの部品代金です。ただし、ワイヤー類は車種、モデルなどで大きく値段が違いますので、詳しい交換作業費用は個別にお問い合わせください。

洗車サービスもあります。

※詳細はお気軽にお問い合わせください

代表的な「洗車」関連メニューを抜粋してみました。 セットメンテナンス作業やオーバーホール作業などを行う際に同時に施工している ケースが多いのですが、ご注文はクリーニング作業単品でも承っていますので、今回はそのご紹介です。

「①ギア周り分解洗浄」はけっこう人気のメニューです。ギア周りは分解しないとなかなかきれいにならない場所ですので、一斉に分解して洗浄してしまった方が確実にきれいになります。クランク・チェーンリング・Rメカのプーリー・スプロケット・チェーンを取り外して洗浄します。

最近では設備の整った自転車の「洗車専門業者」さんも各地にオープンしてますね。それだけ需要があるということなのでしょう。専門的にされているショップさんのホームページなどを見ると、さすが本業、 すごくハイスペックな洗車関連設備が整ってますよね。当店はそれに比べるとかなりアナログな感じの作業ですが、人力(私の手作業)でせっせとお客様の自転車を磨かせていただいております。もともと、各種メンテナンス&再調整がメインの目的の作業工程の中で行っている「クリーニングサービス」ですので、「分解ついでにキレイにしてしまおう」というスタンスでの作業のため、その点はご了承ください。クリーニングすることによって走行性能の回復に役立つことも多々あります。 そういった意味でも洗車はメンテナンスの大事な一つの要素です。もちろん、見た目にもピカピカになるように、アナログ技術なりに心を込めて掃除させていただきます。

「セットメンテナンスA.プレミアム25,000円」にはメニュー表の「①+②+③のセットクリーニングメニュー」が含まれています。仕上がりとしてはおおむねご好評をいただいております。「基本消耗品交換+全体クリーニング」で愛車をリフレッシュしたい方に一押しのメンテナンスメニューです。

また、各箇所汚れの具合(&消耗具合)によっては、パーツ交換の方が効果的なケースもあります。具体的には実際にバイクを拝見させていただいて、総合的に判断をして各プランをご提案しております。代替パーツで対応できるものなら、研磨などのレストア作業よりも、新しい部品と交換してしまった方が、現実的には費用が安く上がります。この辺りはユーザー様によっていろいろと事情が違ってきますので、用途やご予算だけでなく、「思い入れ」なども伺って判断の材料にさせていただいております。

ケミカル類、掃除用品も販売してます。

日頃のご自身でのクリーニング作業はもちろん重要。店頭には日常的に行う洗車グッツも取り揃えていますので、使い方などよくわからないことがあれば、ご遠慮なくご質問ください。「日々の自分での自転車の掃除」+「定期的なショップでの本格的なクリーニング作業」をうまく組み合わせて愛車をキレイに保ちましょう。

納期は、オーバーホールやセットメンテナンスとの同時作業であれば、それぞれの作業納期に準じます。「セットクリーニングコース」は2営業日(要予約)程度で仕上がるかと思います。作業スケジュールのご相談は、いずれにしても事前見積に一度ご来店していただけると助かります。

ギア比について、あれこれ。

オーダー車やセミオーダーシステムの完成車でない限り、購入時には選べません。その自転車の用途やメインターゲットのユーザー層を想定してアッセンブルされています。

ギアの歯数の組み合わせ変更は、よくご相談を受ける作業の一つです。個別のカテゴリー(例えばロードレーサー/シマノ2×11段の場合など)に限定すると解説するポイントが絞れますが、自転車全般のギア構成となると、いろんな周辺パーツの基礎講座から学ばなければなりません。いわゆる「互換性」が多岐に派生して行きます。興味ある方はコツコツと調べてみましょう。

ということで、全てだと大変な解説になってしまうので、今回は基本的なポイントを箇条書きで。

■ギアの段数によって制約があります。

シングルギア、内装or外装、1×〇段、2×〇段、3×〇段、etc.

基本、同じ段数の部品の中で選ぶ必要があります。ただし、モデル(異なるメーカー、構造の違い、など)によっては同じ段数でも互換性がなかったりします。また、段数自体を変更する場合はもちろん全交換が基本ですが、どこまで互換性に影響を受けるかで必要な費用が大きく変わります。

■車種のカテゴリーによって制約があります。

ロードレーサー、マウンテンバイク、普通の自転車、etc.

フレーム設計時に使用するコンポーネントカテゴリーが想定されています。逆に言うとコンポーネントはフレーム設計を基に作られています。チェーンライン設定やフロントチェーンリングの大きさのクリアランスやリアエンド幅(形状)などが影響してきます。クロスバイク小径車など折衷的な設定がされている場合があったりして、複雑なケースもあります。

■キャパシティ(歯数の組み合わせの限界)があります。

多段ギアでの場合ですが、リアディレーラーが作動できる歯数の範囲があります。単純にリアディディレーラーが対応するロー側最大の歯数トータルキャパシティといわれるフロント多段の場合の限界値。また、フロントディレーラーも対応するチェーンリングの歯の大きさの範囲が設定されています。ただし、フロントは現実的には、楕円ギアだったり、サードパーティの特殊な大きさだったり、範囲外でも何とか調整せざるを得ないケースもあったりします。

※トータルキャパシティ=(フロント最大ギア-フロント最小ギア)+ (リア最大ギア-リア最小ギア) 。例えば、フロント50-34T×リア11-28Tなら(50-34) +(28-11)=「33」がトータルキャパシティ。

■そもそも自分に適正なギア構成は?

  • 自転車を使用する目的
  • 体力・脚力でかなり個人差があって正解はない
  • 漕ぎ方のスタイル
  • 基本は車種にあったギア比の範囲で

といったところでしょうか。単純に「登りがつらいから軽いギア比が欲しい」はプランが提案し易いです。ただ、スピードを出したいといった場合(小径車以外で)、ギア比はペダルの回転数と密接に関わってきますので、まずは自分のペダル回転数を見直してみるのもいいかも知れません。※その場合、ペダル回転数計測できるメーター必須。

ギア回りの交換作業のご相談のご依頼は…

まずは現状の実車を拝見させていただいた方が助かります。オーソドックスなケースは判断し易いのですが、変則的な場合「メーカーさんの提供している規格データ」&「対象の自転車のサイズ規格」を確認しながらのお見積り作業になります。

チェーンの交換時期

錆びたチェーン

「チェーンのサビを落としたいので、どうしたらいいですか?」よく受ける質問の一つです。表面に薄っすらと部分的についている程度のサビでしたらクリーナーやチェーンオイルを付けて擦れば落ちますが、上の写真のような状態になってしまったら、チェーンのサビは落せません。交換するしかありません。錆びる前に注油をすることがチェーンのメンテナンスの鉄則です。外装ギアの自転車を日常的に使用している方でしたら、1か月に1回は注油を心がけましょう。雨の日によく使用される方でしたら、もう少しマメに注油してもいいでしょう。

また、チェーンは使用していると摩耗してくる消耗品です。定期的に交換することが望ましいパーツの一つです。「チェーンの伸び」が交換のタイミングの基準になります。伸びるといっても、目視でわかるような「だら~ん」とした状態になってしまうわけではありません。伸びの程度を数字でいうと、~1%程度の伸びという表現になります。症状としては、チェーンの1コマ毎の遊びが大きく感じられます。この遊びによって変速のスムーズさが失われてきます。

右端の「0.75%」「1.0%」のメモリがはまるところがチェーンの伸びの数値。
「1.0%」のメモリがバッチリはまってますね。

こんな感じでチェーンチェッカーを使って、「チェーンの伸び」計測します。1%以上の伸びが生じていますので、交換時期です。一般的には「0.75%」が交換が推奨されているタイミングです。変速がシビアな11速チェーンだと「0.5%」くらいの伸びで交換が推奨だとも言われています。変速性能に影響が出てきたら当然交換をおすすめしますが、伸びているチェーンや錆びているチェーンは、スプロケやチェーンリングを削っていきますので、やはり定期的な交換がおすすめです。距離の目安はおおよそ5,000㎞くらいでしょうか。ただ、この目安は乗り方やメンテナンスでかなり左右されるところですので、一概に走行距離を目安にできない判断基準でもあります。

チェーン交換の料金はチェーン代金+作業工賃1,500円です。
※写真のシマノCN-6600は2,986円
交換後、新品のチェーンではチェッカーのメモリは当然はまりません。

新しいチェーンに交換して、チェーンチェッカーで計測すると、当然ですが全く伸びはありません。それと交換前の古いチェーンと比べると見た目がきれい‼。ちなみにビフォーアフター写真は全く同じモデルのチェーンです。

ギアの段数、使用しているギアのモデルによって、使用できるチェーンは決まっていますので、互換性等はお問い合わせください。

※ちなみにこの歯は大丈夫でした。「歯とび」はしませんでした。

チェーンを交換した際に「歯飛び」という症状が起きてしまうことがあります。古い伸びたチェーンと、削れたギアの歯がちょうどいい具合に噛み合っていて、一方を新しくすると、噛み合わなくなる現象です。見た目で事前に判断できるケースもありますが、チェーンを交換して走り出してみると噛み合わない、といったケースもあります。それなりに使い込んでいる場合はチェーン交換時にスプロケットやチェーンリングの同時交換が必要となる場合があります。経験的に言って、あまり変速をしない方、重いギアを常に踏んでいる方、古いチェーンを使い続けている方、に起きやすい症状です。

それと、汚れがひどい方に同時作業としておすすめ↓

※ギア回りの分解洗浄…6,000円

チェーン交換時におすすめの作業です。基本的にはこのくらいの感じに分解して洗浄を行います。(クランク、スプロケット、チェーン、Rメカのプーリーを外して作業します)

せっかくチェーンがきれいなったので、全体的にきれいにしたい場合は、ギア回りの部品をすべて外して作業した方が効率的です。ギアの歯やプーリーにこびりついた油汚れは、チェーンを外さないと掃除しにくい箇所です。必須の作業ではありませんが、よろしければチェーン交換時にご相談ください。