『ディレーラー調整の講習会』開催

2021年7月追記:「講習会」形式のワークショップは廃止しました。現在は「プライベートレッスン」形式で承っております。詳しくはコチラ

初心者からベテランの方まで、変速調整の疑問にお答えします。

日時:3月8日(日) 9:30~ (90分程度

今回は開店前の時間で店内PITスペースにて行います

講習内容:ディレーラー調整など変速調整全般の基礎講座

参加費:2,000円(税込み)

定員:数名程度まで(1名様でもお申し込みがあれば開催します)

申し込み方法:事前にご来店もしくはお電話等でお申し込みください

『自分で変速の調整をすると、どうもうまくいかない…』そんな不安がある方から『変速の調整方法が全く分からない』といった初心者方までを対象にした講習会です。ディレーラーの基本構造、具体的な調整方法、よくあるトラブル、日常の点検、などを実際にご自身で作業をしてもらいながら学んでいただきます。初心者でもわかる内容で行いますが、ベテランの方でも作業のコツなどプロのテクニックを学べる機会ですので、復習・確認のために参加していただいてもいいかと思います。 また、ご自身の自転車をお持ち込みいただければ、より具体的な調整のポイントをアドバイスします。

変速(シフト)調整の方法、続編②

前回の内容はコチラから。

変速(シフト)の調整方法の続編です。今回はリアディレーラーの『調整ボルト(ネジ)の役割』について理解していきましょう。

実際の調整方法のコツなども今後アップしていく予定ですが、今回も前回に続いて基礎講座編です。急がば回れで、シフトの調整方法を習得するには、まずはディレーラーの構造をしっかりと理解することが重要です。「最初にこのネジを締めて、次にこのネジを…」と覚えるよりも、「このネジを締めるとこういう状態になる」と理解してもらった方が調整方法をマスターする近道だと思います。

リアディレーラーには次のような4つの調整ネジがあります。上から順番に下の図のように配置されています。

わかりやすい図にしてありますが、実際にはタテにきれいに並んでいるわけではありません。位置関係の目安としてみてください。実際には下の写真のような感じです。

スタンダードなリアディレーラーだと実際はこんな位置関係

ただ、必ずしも上からこの順番とも限りません。下の写真のようなケースも一部のモデルではありますので、マニュアル等で確認してください。

最近はこんな仕様もありますが、調整方法の要領は基本的に一緒です
それぞれのボルトの位置を把握することが重要です

それぞれのボルトの役割は…

  1. Bテンション調整ボルト…ガイドプーリー(上側にある歯車)とスプロケットの間隔を調整するためボルトです。基本最初にセッティングされていれば、日常の微調整ではあまり使用しない箇所です。
  2. トップ側ストローク調整ボルト…トップ側にチェーンが外れなくする役割のボルトです。
  3. ロー側ストローク調整ボルト… ロー側にチェーンが外れなくする役割のボルトです。
  4. ケーブル調整ボルト…ケーブル(ワイヤー)の張り具合(テンション)を調整するボルトです。前回、説明した「綱引き」のバランスをとるための調整ボルトです。日常の微調整ではココを調整することが一番多いかと思います。

How to本などを読むと「トップ&ロー側ストローク調整ボルト」がメインの調整と理解してしまうことがあります(間違った理解ではありませんが…)。実際の場面では、ショップで整備された状態で使用開始⇒しばらくは問題なく快調に変速⇒変速の動きが悪くなった、というケースが多く、その場合には1~3のボルトでの調整が必要な場合は少なくて、ほとんどが4.ケーブル調整ボルトの調整だけで済むことが多いです。いわゆる、「初期伸び」等によるケーブルのテンションのズレが原因の不具合です。もちろんすべてがそうとは限りませんが、ケーブル調整ボルトでテンションを上げてあげれば、簡単に直ってしまいます。

「トップ&ロー側ストローク調整ボルト」 それぞれの役割が間違って理解されていることが、初心者の方にけっこう多く見受けられます。それぞれのボルトの役割を模式的に表現すると次のような図になります。

リアディレラーのトップ側に動く範囲を決めるネジ
リアディレーラーのロー側に動く範囲を決めるネジ
この2つのネジはトップギアとローギア以外では機能していない

それぞれのストローク調整ボルトは、リアディレーラーの動く範囲の一番外側と一番内側に影響を与えているだけです。ちなみにフロントディレーラーでも同じ理解でOKです。この構造の理解をしっかりとしていただけると、シフト調整のコツがつかみやすくなると思いますよ。

変速(シフト)の調整方法、いろいろ

シフト調整って難しい…?

何となく、ハードルの高いイメージのある作業の1つがシフト調整ではないでしょうか。フレームのエンド修正が必要な場合は別ですが、基本的にはプラスドライバーや六角レンチ等があれば調整できる特殊工具を必要としない作業です。でも、何だか複雑な構造で難しそう…、というイメージを持っている方が多いかと思います。

自転車の変速機は模式的に表現するとこんな感じに自転車に取り付けられています。

シフター(変速レバー)でケーブルを引っ張って(ケーブルを巻き取るイメージ)、ディレーラー(変速機)を動かしている構造です。

ディレーラー側にはバネがあって、引っ張られるとこのバネが伸ばされる構造になっています。そして、シフター側で引っ張ているケーブルを再び緩めるとバネの縮む力でディレーラーが元の位置に戻ります。

インナーケーブル』を使って、『シフター』と『ディレーラー』が綱引きをしている構造です。この綱引きのバランスを調整することがシフト調整です。

通常、まったく引っ張られていない状態ではディレーラーはリアの場合トップギア側(フロントだとインナー側)にあります。シフターでケーブルを矢印の方に引っ張ると、ディレーラーが引っ張られて、

矢印の方に動いてローギア側(フロントだとアウター側)の位置に移動します。

そして、ディレーラーにはチェーンが通っていますので、この動きを利用して、チェーンを移動させて変速を行うことがディレーラーの役割です。

この動きを最適化するために、ケーブルの張り具合をアジャストする『ケーブル調整ボルト』を使って綱引きのバランスをちょうどいい位置にしてあげます。変速不具合の原因としてよくある、いわゆる「ケーブルの伸び」に対する調整です。※一般的にこの作業レベルで済む調整を前提に、当店ではシフト調整作業工賃を1か所/500円で設定しています。

ただ、工賃表が500円『~』という表示になっているのは、変速の不具合は複合的な要因があるので、一概にケーブルの張り具合だけでは改善されないケースが多いのも現実です。状態を拝見せていただいて、個別にお見積もりをしております。

他にも複数の調整ネジ(Bテンション調整ボルト、トップ&ロー側のそれぞれのストローク調整ボルト)がディレーラー側にはありますので、それらの構造を理解しないと正しいセッティングはできません。もちろん変速機そのものの取り付け位置も重要です。この辺りの内容はまた別の機会で、投稿しようかと思っています。

また、このようなスタンダードな外装モデルではなく、内装だったり、電動変速だったり、ローノーマルのリア変速機だったり、個別にセッティングが異なるケースがけっこうあります。

やっぱり、シフト調整って、難しい…。かもしれません。

※現在、初心者向け基本的なシフト調整方法の講習会を企画中です。近いうちに開催予定です。日程等、決まりましたら、あらためてご案内いたします。