パンクの原因を分析してみる

直近、数ヶ月間の「久我山/本店」でのパンク修理依頼のデータ(原因・修理方法)を集計してみました。パンクの原因を集計してみるとこんな割合でした。

「パンクしてしまったので診てもらえますか?」とのご依頼に対して、「どんな原因」で「どんな修理対応」になったのかを集計した結果です。約半数がタイヤやチューブの状態が悪く交換を要する結果でした。残りの1/4がいわゆる普通のパンク修理(シール状のパッチをゴムのりで貼り付けてなおす)で、そして実際には1/4程度がパンクはしていなくて、虫ゴムの劣化によるエア漏れ&ただ単に空気を入れていない等、という集計結果です。

■パンク修理標準料金/1ヶ所…1,320円(税込)

■タイヤ&チューブ交換作業…車種ごとに個別見積り

※交換の費用目安としては、一般のシティサイクルの後輪だと1本/5,800円~6,000円程度、電動アシスト車の後輪は7,000円~9,000円程度、クロスバイク1本/6,000円~8,000円程度。前輪と後輪で作業工賃が異なる車種もあります。

自転車のパンクと言うとこんな感じの「何かが刺さってしまった」状態をイメージされる方が多いかもしれませんが、集計結果の通り実際には意外と少ない原因です。「何かが刺さってしまった」場合、こればかりは不運としか言いようのないパンクの原因で致し方ありません。しかし、その他のパンクの原因の大半は避けるための対策が取れるものばかりです。以下のような原因がパンクに繋がっています。

  1. 日頃のメンテナンス不足による原因
  2. 経年劣化による原因(本来は寿命になる前にタイヤ交換を)
  3. 使用方法(乗り方)による原因

メンテナンス不足が原因の代表的な症状がこういったチューブが削れてしまう「擦れ」パンクです。

空気が入っていないと、タイヤの中でチューブが動いて擦れて側面が削れて、薄くなった場所に穴が開きます。

メンテナンスと言っても難しい話ではありません。ここでいうメンテナンスとは「定期的に空気を補充する」だけです。車種/タイヤによって適正頻度は異なりますが、シティサイクルやクロスバイクで1か月に1回、スポーツ系(ロードバイクなど)の細い高圧タイヤなら1週間に1回、が目安です。

また、空気がしっかりと入っていないと走行中に段差の衝撃で起こる「リム打ち」パンクを起こしやすくなります。

段差での衝撃で穴が開いてしまうパンクです。このパンクの場合穴が大きいケースも多く修理不可⇒交換対応になってしまうことも多い原因です。

空気圧を適正に管理していても、スピードの出ている状態で歩道の段差などに勢いよく乗り上げると起こることもあるので、乗り方(使用方法)に気をつける必要もあります。

経年劣化が原因。外側のタイヤにしても、内側のチューブにしても素材はゴム製品です。当然永遠に使用できる性質のものではありません。平均的な使用頻度であれば2~3年程度でそれぞれ寿命が来るものと理解しておいた方がよいでしょう。乗っていなくても屋外保管の場合、紫外線、雨風などで劣化していきます。使用頻度の高い場合はもっとタイヤの寿命が短くなります。

シティサイクルなど英式バルブを採用している車種の場合だと、「虫ゴム」の劣化によるエア漏れもよく起こります。安価な部品ですので「虫ゴム」は定期的に交換しましょう。最低でも6ヶ月~1年に1回、本来はそれ以上の頻度での交換が推奨です。

自転車のタイヤの寿命を意識している人は意外と少なく、調査結果でもやはりその予想通りの内容となりました。

パンクをしてご来店された方のうちタイヤの異常にご自身で気づかれた方はわずか26%

パンクをして修理にお越しに来店される方にのうち、約3/4の方はご自身のタイヤがダメになっていることに気づいていません。目視すぐに判断できる下の写真のような状態でも、さっきまで普通に自転車に乗っていたという方が多くいらっしゃいます。

タイヤが擦り減ったり、ひび割れをしてくると内側のチューブを守れません。この場合は当然、パンク修理での対応ではなく「タイヤ&チューブ交換」作業が必要になります。

タイヤに大きな穴があくとチューブが破裂してしまいます。もちろん修理は出来ません。交換が必要になります。

経年劣化の原因として見落としがちなのが「リムテープ」が古くなって傷んでいてパンクしてしまうことがあります。

車輪(おもにアルミなどの金属)にチューブが直接触れないように保護するテープが内側に取り付けられています。この部品が傷んでくると写真の位置のように内側方向からパンクをしてしまいます。

たかがパンク修理…されど奥深い世界があります。

代表的なパンクの症例をいくつか紹介してきました。これら以外にも他の原因があったり、複合的な要素が同時起きている場合もあります。何気なく乗っているご自身の自転車、タイヤの状態をぜひ一度確認してみてください(とくに一定の年数が経過している場合には)。最後に入れたのがいつだったかのか覚えていないくらい久しく空気を入れていない方も要注意です。