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マウンテンバイクの世界ではけっこう昔から当たり前になっているチューブレスタイヤのシステム。ロードバイク界隈でも最近チューブレス化の波が押し寄せてきてますね。 マビック社もついに昨シーズンからロードチューブレスホイールをラインナップしました。また、最近のグラベルロードのブームもあってチューブレスタイヤが注目されていますね。
ロードレーサーとマウンテンバイクでは背景も違いますので、少し特徴の活かし方が違う側面もあります。種類や構造を理解して、ご自身のバイクにとってのメリットは何かを検討しましょう。 車種問わずに総論的な内容になりますが、チューブレスの種類や普及してきた経緯を解説していきます。
チューブレスの規格は…
①UST規格のチューブレス
専用規格のホイール+専用規格のタイヤでエアの気密性を保てる構造になってます。
②レディ構造のチューブレス
レディ=準備、用意。の意味合いでの呼称です。そのままではチューブレスとしては使えませんが、チューブレス化のための作業を行えば、チューブレスシステムとしての使用ができる構造です。「チューブレス化するための構造は用意してありますよ」って意味です。チューブレス化のために必要な作業として、 「リム側に専用のテープを張ってスポーク穴を塞ぐ」、 「専用のバルブを取り付ける」、「レディ対応タイヤを使用する」、「気密性を高めるためのシーラント液を入れる」の工程が必要になります。ホイールはレディ対応のホイールの使用が原則です。タイヤはレディ用のタイヤでもUSTのタイヤでも基本的には使えます(ただし、メーカーによって相性の問題があり)。
の2種類があります。
注).UST(Universal Standard Tubeless)というシステムの名称はマビックの商品規格として、過去のMTBチューブレスホイールにも現在のレディ構造のロードホイールにも使われています。ここでは統一規格として、一般的な呼称「UST規格(シーラントを使わないチューブレスシステム) 」として解説をしています。※現状として、業界内でも厳密な基準がまだ曖昧な分野です。
市場の実際の商品ラインナップとしては次のような状況です。
■ロード系の場合
UST規格のチューブレス
・ホイール …シマノ、カンパの2wayフィット、etc.
・タイヤ…IRC、ハッチンソン、 etc.
レディ構造のチューブレス
・ホイール …マビック、DTスイス、 etc.
・タイヤ…マビック、ハッチンソン、 最近ではその他多くのメジャーメーカー
レディ構造では「TCS」「BST」「TLC」など各メーカー独自の技術規格の名称があります。
■MTB系の場合
26インチホイール…UST規格とレディ構造の両方商品がある
27.5インチ&29インチホイール…レディ構造の商品しかない
何となく、時代の流れとしてレディ構造のチューブレスシステムが主流になってきている感じです。
※UST規格タイヤの特徴について
エア漏れを防ぐためのタイヤの内側にしっかりとしたシール加工がされています。タイヤのみで密閉性を保てる構造のため、シーラント液を注入する必要がなく、その点ではメンテナンスが楽です。ただ、シール加工が必要なためタイヤの重量がどうしても重くなります。MTBではタイヤ径が大きなって使われなくなった理由はこの辺にあるのではないかと思います。またシール加工個所をタイヤの着脱時に傷めてしまうとエア漏れの原因になります。着脱にはタイヤレバーを使わない、もしくは専用のタイヤレバーを使う必要があります。
※レディ構造タイヤの特徴について
レディ構造の場合は気密性を保つのはシーラント液に頼っているので、タイヤにはUSTレベル程のシール加工が不要なため、重量をかなり軽量化できます。現実的に軽くて乗り心地のいいタイヤを求めるとどうしてもレディタイヤの方が有利ですね。ただ、このシーラント液が曲者で扱いにコツが要ります。「シーラント液によって気密性のあるタイヤを完成させるまで時間がかかる場合がある」※レース直前などの新しいタイヤのセッティングはあまりお勧めしません。「時間が経つと乾燥してくるので、定期的なシーラント液の交換が必要」「家で作業をするとシーラント液で汚しやすい」など、どうしてもメンテナンスに手間がかかります。
チューブレスタイヤを使うメリットは何か?
◆低圧での走行が可能。 ダート走行のMTBやグラベルバイクでチューブレスタイヤが求められる最大の理由でしょう。「低圧でもリム打ちしない」「低圧だと乗り心地が良くなる」※マビック社のロードチューブレスシステムは専用タイヤの開発工夫によって、低圧でも走行抵抗のロスも少なく、乗り心地&走行抵抗の少なさを高次元で両立させたことがロードバイク使用における最大のメリットといえるでしょう。最近では低圧でも走行抵抗を保てるしっかりとしたコシのロード向けタイヤをさまざまなメーカーが開発をしています。
◆インナーチューブによる転がり抵抗のロスをなくせる。
◆そもそもインナーチューブが入っていないのでパンクのリスクが少ない。 さらにレディ構造であればシーラント液でタイヤの小さい穴を塞ぐことが出来るのでパンクのリスクがより少ない。仮にタイヤに穴が開いても走行中の急激なエア漏れがないため安全。最悪、スペアチューブを持っていればチューブドにしても走行可能。※タイヤがダメになってしまわない限り何とかなる。
◆チューブの重量分だけ軽量化できる。 特にレディ構造の場合、シーラント液の重さを考慮してもメリットは大きい。
デメリットは
◆メンテナンスに手間がかかる。 セッティング時にコンプレッサーが必要な場合もあったりするので取り付けが難しい。シーラント液や専用リムテープの管理が必要となる。最近はチューレスタイヤ専用フロアポンプなどもありますね。ちょっとコツを覚えればご自身でもできるとは思います。
◆チューブドに比べどうしても気密性に劣るため、空気圧の保持にやや難点がある。 それでも、感覚としてはラテックス系のチューブラータイヤよりは空気圧を維持してくれる感じなので、慣れれば気にならないとは思います。
◆メーカー・モデルによってタイヤのマッチング(相性)がある。 経験的に言って絶対無理な組み合わせもあれば、専用リームテープの貼り方などを工夫していけば何とかなる場合もあります。
走行中のデメリット・ストレスはありません(個人的な感想ですが、一度使ってしまうとチューブレスタイヤ以外は考えられない、と言っていいくらいの優れモノ )が、日常の維持管理にはそれなりの覚悟が必要でしょう。
チューブレスタイヤ取付基本作業工賃…2,500円/1本
やや作業に手間がかかるためチューブレスタイヤの取り付け作業工賃は、通常のタイヤの取り付けより高い工賃設定とさせていただいております。
※上記の工賃には、リムテープ、シーラント液代金は含まれていません。