自転車タイヤの「サイズ」ご存じですか?

タイヤの交換依頼の際に電話でお問い合わせをいただくことがしばしあります。実際にお持込みいただければ、当方でサイズ等の確認ができるのですが、現物がない遠隔の情報では判断が難しいケースがあります。

自転車のタイヤのサイズ種類、実はかなり多いのです。「普通のサイズ…」「小さい車輪…」「26インチくらい…」等々、感覚でお伝えいただくことがありますが、正しい具体的なサイズをお知らせ下さると非常に助かります。

主要なサイズは大抵在庫をしてますので交換対応はほぼほぼ大丈夫なのですが、在庫が無いとお取り寄せに時間を頂戴することもあります。お急ぎ等で事前に確認が必要な場合はこの投稿を参考にしていただければ。

基本、サイズ表記は「タイヤの側面」何かしらの刻印がされています

★下・写真2点は一般的な「26インチのシティサイクル」のサイズ表記例

26×1 3/8 

とタイヤ側面に刻印表記があります。26インチ径で1・3/8インチ(←分数表記)幅のタイヤサイズということです。

そして、26×1・3/8の横にカッコで(37-590)との刻印表記もあります。タイヤサイズは最初の方の「○○×○○」が商品名として広く流通していますが、メーカーや国によってはこのサイズ表記異なることがあります。そこでタイヤのグローバルな統一規格として表記されるのが「○○ー○○○」の数値です。○○㎜幅の○○㎜径で統一したETRTO(エトルト)規格と呼ばれるものです。※European Tire and Rim Technical Organizationの略

一般的に最初の方の「○○×○○」の方をお知らせいただければ判別できる場合が多いですが、エトルト規格表記を合わせてチェックしておくと万全です。

★次はクロスバイクロードバイクのタイヤサイズ表記の一例

700×35C

と表記されています。そして同じくカッコでエトルト表記の35-622が併記。700C径で35㎜幅のタイヤサイズとなります。ここでアルファベットの「C」が登場しますが、「A」「B」などもあったりします。この工業規格が用いられている国があることが歴史的な背景になりますが、単純に「○○○C」はサイズを意味するアルファベットと覚えておけばOK。一般的な多くのクロスバイクやロードレーサーは「700C」との理解でよいかと思います。

★よくサイズを間違えやすい例が、いわゆる「20インチ」の小径モデルの2種類

20×1.75

20×1 3/8

20×1.75(47-406)の20インチ
20×1 3/8(37-451)の20インチ

この2種類の20インチ自転車は全くタイヤサイズが異なります。ご注意を。こういった紛らわしい車種カテゴリーもありますので、表記されているタイヤのサイズを現物でしっかりと確認することが重要です。

■英式バルブ

ウッズバルブ、ダンロップバルブの名称が使われることもあります/いわゆる一般車(ママチャリ)で使われているバルブ形状です

■仏式バルブ

フレンチバルブ、プレスタバルブの名称が使われることもあります/スポーツ車ではもっともポピュラー、ロードレーサーで使われているバルブ形状

■米式バルブ

アメリカンバルブ、シュレッダーバルブの名称が使われることもあります/クロスバイクや入門マウンテンバイクなどでよく使われているバルブ形状

特に「仏式バルブ」はホイールの形状(リムの高さ)によって選ぶバルブ長が異なります。34㎜、48㎜、60㎜、80㎜など様々な長さのバルブ長があります。

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最後に実際にタイヤを選ぶ際ですが、自転車の「車種カテゴリー」も考慮する必要があります。同じサイズのタイヤでも「普通のシティサイクル向け」「電動アシスト自転車向け」があったりします。スポーツ用タイヤだと「街乗り用」~「本格的な競技用」までバリエーションも豊富です。どんな自転車向けの商品なのかを理解して選ぶことも重要です。メーカー名や商品名が分からなくても大丈夫ですので、使用用途を教えていただければおすすめのタイヤをご案内させていただきます。

ディスクロードのメンテナンス ~シマノ油圧DISCブレーキのオイル交換時期~

最近、ディスクブレーキ仕様のロードバイクのメンテナンス依頼が目立ってきました。市場にディスクブレーキ仕様のロードバイクが本格的に普及し始めて2~3年経ちます。そうすると期間的にそろそろ整備が必要なタイミングになってきているのでしょう。

多くのモデルは「油圧式」のディスクブレーキが採用されています。油圧と言う名前の通りに「オイル(油)」でブレーキを作動させているシステムです。(※油圧ブレーキに採用されているオイルは「フールド(圧力をかける流体)」と言う名称の方が正確かもしれません。この呼称もよく使われますが、ブレーキオイル=ブレーキフールド、基本的には同じものを意味します。)

その中でも代表的なのが「シマノ」社の商品で、流通シェア的も圧倒的に高く、多くのロードバイクに採用されています。シマノではすべてのモデル(ロードだけでなくクロスバイクやMTBなど含めすべて同じオイル)で「ミネラルオイル(鉱物系オイル)」という種類のブレーキオイルが採用されています。現在ロードコンポーネントではティアグラ、105、アルテグラ、デュラエースのグレードおいて油圧ディスクモデルがランナップされています。

シマノのミネラルオイルはメンテナンス性に優れ比較的オイル自体が劣化もしにくい特徴があります。そうは言っても永久的に使用できるものではありません、定期的な交換作業が必要です。一般に推奨されるのが2年に1回程度の交換(ハードに使用される方なら1年)頻度です。

シマノ105(BR-R7070)ブレーキキャリパー側のオイル交換時のセッティング風景
シマノ105(ST-R7020)デュアルコントロールレバー側のオイル交換時のセッティング風景

シマノ/ロードコンポーネントの場合キャリパー側からブレーキオイルを注入して、デュアルコントロールレバー側に専用の漏斗(じょうご)をセッティングして充填&エア抜き作業を行っていきます。

ノーメンテでかなり使い込んでしまった状態。真っ黒です。
新品の「シマノ/ミネラルオイル」の状態。きれいなピンク色

上の写真のような真っ黒な状態は極端な例ですが、時間が経つとオイルのピンク色が抜けてきて透明な色の液体に変わってきます。この色にはインジケーターの役割があって、このピンク色が抜けてきたら交換時期とされています。おおむねこの時期が1~2年。ただ、実際に外から見て確認できるものではありませんので、時間の経過を交換のタイミングの基準にした方がよいでしょう

※ちなみに「SRAM」社「DOT(ドット)オイル」で、新品時の色は写真のような状態です。シマノのミネラルオイルに比べて劣化が早く、こちらは最低でも1年に1回の交換が推奨です。

ブレーキオイルの交換のタイミング(2年以上経過時)ですと、ディスクブレーキ周り全体の調整&消耗部品(パッドなど)の同時交換が必要なケースも想定されます。個別に見積もりが必要な作業になりますが、整備費用は「ブレーキオイル交換」「ブレーキパッド交換」「ブレーキ周り再調整一式」の3点セット同時作業(←ブレーキ周りのオーバーホールに準じる作業)で1ヶ所1万円程度(前後で×2)が目安になるケースが多いかと思います。※パッド交換はグレードで部品の値段にかなり幅があります。※ブレーキローター側の摩耗も要チェックです。

リムブレーキと違って目に見えてパーツの摩耗が分かりにくいのが油圧ディスクブレーキの特徴。ブレーキパッドが擦り減ってもブレーキレバーの引きしろが緩くならないですし、ケーブルで引っ張ているのではないので錆びたたり切れたりして動かなくなることもありません。普段のメンテナンスの手間が省けるメリットがあります。一回あたりの整備費用はリムブレーキより高額にはなりますが、整備頻度はリムブレーキより少なくて済みます。ただ、ご注意いただきたいのが(特に不慣れな初心者の方)、ディスクブレーキの摩耗/消耗の限界を超えて使い続けてしまった場合(それでも乗っている本人は意外と気付かないまま)、コンポーネント本体を破損してしまって全換装作業が必要なんてこともあります。

シフトインナーケーブルの種類

代表的な消耗パーツ「シフトケーブル」。特にロードバイクユーザーであれば、やはり定期的な交換を心がけましょう。

現行モデルのシマノSTIレバーのシフトケーブルの取り回し。この部分で直角にインナーケーブルが曲がるルーティングになっています。一番負担がかかりやすく摩耗し易い場所です。シフト操作に違和感がある場合、ほつれたりしていないか点検をしましょう。

最近はハイエンドのロードバイクだとシマノ「Di2」など電動変速が主流になりつつありますので、シフトケーブル交換が必要のないバイクも多くなっています。この変速システムの電動化の時流ともにラインナップが増えてきたのが「コーティングタイプ」シフトインナーケーブルです。電動システムの変速性能に引けを取らないようにワイヤーのスムーズな動きを追求した特殊なモデルが使われています。

現行シマノ・ロードコンポーネントの場合、

デュラエース&アルテグラ…ポリマーコーティング

105、ティアグラ、ソラ、クラリス…オプティスリックコーティング

が標準で採用されています。いずれもアウターケーブルはグリスが入った「OT-SP41」が対応。

※完成車の場合は社外品ケーブルなど標準仕様と異なるアッセンブルもあり

※コーティングタイプはコンポの年式(旧型など)によっては使用できない場合もあり

当店のセットメンテナンスA/B/C各コースでは消耗品交換を実施しますが、その中にはもちろんシフトケーブル交換作業も含まれます。基本料金内ではシマノ製のスタンダードな「ステンレススティール」シフトインナーケーブルでの交換作業になります。

スタンダードなシマノ/ステンレス以外のシフトケーブルを使用する場合は別途アップチャージがかかります。具体的な費用は個別にお見積もりをさせていただきます。

<シマノ公式サイトからの資料>

シマノの3種類のシフトインナーケーブルの特徴

シマノ「ステンレススティール」

■エントリーロードやクロスバイクユーザー、古い年式のロードバイクユーザーでは定番の「ステンレススティール」。上位コンポユーザーの方でもランニングコストを考慮して使っている方もいます。安いけど非常に良いケーブル。

シマノ「オプティスリックコーティング」

■青みがかったコーティングが特徴。耐久性に優れた均一でごく薄い電着コーティングが施された「OPTISLICKケーブル」により、ケーブル効率性が向上し優れた耐腐食性を実現。値段もお手頃。シマノの中ではミドルグレードといった感じ。

シマノ「ポリマーコーティング」

■うす茶色の新素材「ポリマーコーティング」がインナーケーブルにらせん状に巻かれてケーブル内のグリースが長期にわたり保持されます。軽くて素早いシフティング操作は抜群ですが値段が高価、また構造上どうしても定期的な(マメな)交換は必須です。

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大阪のケーブル専門メーカー「日泉(ニッセン)」

日泉ケーブル「SP31スペシャルステンレスインナー」

カスタムパーツとして人気があります。変速操作時の引きの軽さで評判も高く耐久性も信頼できます。アウターケーブルのカラーリングも豊富で個性的です。ヴィンテージバイク向けアイテムもラインナップあり。

カンパニョーロのユーザーの方へ

「シマノ」と「カンパニョーロ」では規格が異なります。カンパの方がタイコ部分がひと回り小さい。

シマノ用は使えませんので、カンパ純正or対応のサードパーティ製での交換になります。セットメンテナンスコース時にはアップチャージが必要になります。

通販などで購入した「新車」の整備承ります

近年は車体(完成車)もネット通販で販売している自転車メーカーが増えつつあります。もちろん今でも大半は専門店の店頭を訪れて商談をして購入されるケースがほとんどですが、一部で最近は販売店を通さずに「自転車メーカー」→「ユーザー」直接の業態を取っている流通も見受けられるようになってきました。

通信販売という商業形態がメジャーになったこの時代でも、自転車の「車体」購入に関しては「店頭販売」がまだ主流であることに変わりはありません。車(自動車)の購入もまだそうですね。大きな理由一つは「整備が必要な乗り物だから」「乗り物ゆえ整備が必要だから」といった商品の特性があるからでしょう。やはりこの点は実店舗で購入する方が安心感・メリットがありますね。整備面でのユーザー負担を軽減するため、大手販売店さんだと「ネットで注文」→「店頭(実店舗)で受け取り」の体制をとっているところもあります。

当店にお持込みがある「新車」整備の相談も多くが通販で購入された自転車です。そして整備面で困ったことがあるといった相談内容がほとんどです。

購入ルートは主に以下のようなケースなどがあります。

■直販型メーカーで購入

海外スポーツバイクメーカーでそもそも販売店を通さない販売業者。基本、整備済でユーザーに納品される商品なので、整備面での知識がある中上級者ユーザーなら困ることも少ないとは思いますが、そうは言っても初級ユーザーにはそれなりに難易度が上がります。カーボンバイク、ディスクブレーキなど取り扱いが難しい部品仕様が増えてきているので、そういった面でも整備面で不安があるとの声をよく聞きます。最近人気の「キャニオン」社製品などが代表的。

■自転車専門店でない販売業者から購入/2次流通品のケースも含む

リサイクルショップ(新古品含む)、新規参入色の強い自転車業界外の業者、当選品などで景品業者から納入等。この場合そもそも販売している業者が整備はしないスタンスなので、「ユーザー自身で自転車店に持ち込んで組立(整備)をしてもらう」前提で商品が手元に届きます。

■ネット通販で購入/未組立品の状態で納品された商品

直販型メーカー同様、販売店(自転車店)を通さない業者全般。整備面でかなり詳しい方以外では取り扱い面でかなり難易度が高くなる商品ジャンルです。補修部品の供給が無い場合も多くあるので、将来的な維持管理が困難なこともあります。比較的安価という価格面だけに釣られることなく慎重に商品を選んだ方がいいでしょう。

■個人売買/オークションサイトで購入

ショップ出品商品以外は当然自己責任になります。「新車」「新古品」「中古品」それぞれの状態に応じて、入手後ご自身で自転車専門店に「基本整備」「オーバーホール」などを依頼するのが無難だと思います。

自転車の場合は「新車」と言っても、実際には各所の整備点検が必要で、「箱から出したらすぐ乗れる」訳ではないので、上記のケースに限りませんが、「乗り出し」にはきちんと整備されているか確認・注意することが重要です。

当店の「新車」整備の料金は「7分組立工賃」がベースになります

車種カテゴリー別の基本料金の目安になります。完成車仕様の場合の整備料金です。

※正確な「新車」整備費用には個別見積りが必要です。表の基本料金が目安になりますが、特殊作業が必要な場合など部品の仕様によって費用が異なります。

車種カテゴリー別の全体整備費用の目安

「クロスバイクに乗っているんだけど、オーバーホールってかなり費用がかかるの?」との質問をいただくことがしばしあります。クロスバイクの新車購入価格帯のボリュームゾーンは5~8万円程度(ただ、昨今の値上げの嵐でもう1~2万円高くなっているかもしてません)が相場と言われています。それを基準に整備費用は「このくらいまで」とお考えの方も多いのではないでしょうか。

ロードバイクをオーバーホールして10万円くらい費用がかかった、といった情報などがあると、「クロスバイクにそこまではかけられないなぁ」と考えるのが普通だと思います。でも、ご安心ください。バイシクルサポートではクロスバイクをはじめライトユーザー向けのセット整備プランもいろいろとご用意しております。

<各セットメニュー基本料金>

  • オーバーホール(フル作業)…38,500円~
  • セットメンテナンスA.プレミアム…27,500円
  • セットメンテナンスB.スタンダード…17,600円
  • セットメンテナンスC.ベーシック…13,200円

各コース詳しくはコチラ

使用頻度、過去の整備状況、保管状態、等々、自転車の消耗度合いで当然おすすめのプランは変わってきますが、一般的に「フル作業」&「セットA」はロードバイクの方からの依頼が多くて、「セットB」&「セットC」はクロスバイクの方に人気があります。

セットメニューでは部品代金込みで、ブレーキパッドやケーブル類など消耗品の交換を行って再調整&整備をします。

また、ゴム製品がゆえ必ず交換時期がやってくる「タイヤ&チューブ」の部品代金も、

ロードレーサー用(2本ペア)…15,000円前後

クロスバイク用(2本ペア)…10,000円前後

(交換作業工賃別途)

この辺りが相場ですので、ロード>クロスと価格帯が違います。ロードバイクほどクロスバイクのタイヤ&チューブの相場は高くありません。走行距離だけでなく、ゴム素材ですので経年劣化がありますので、長く使っても2~3年までで交換されるのが理想的です。

表の「無料工賃」は取付対象部品を当店お買い上げの場合。お持ち込みの場合は有料となります。

ロード系車種(ロードレーサー、グラベル、ツーリング車等)の作業の場合ですと、走行距離も伸びますし、パーツの性能維持のためにも整備がより重視されるカテゴリーです。やはりそうなると、本格的な整備メニューの「フル作業」&「セットA」のニーズが多くなります。もちろん基本的な整備メニューの「セットB」&「セットC」程度の内容で十分なケースもありますので、バイクの状態によって判断すればよいかと思います。逆に「クロスバイク」などの車種でも使い方によっては本格的な整備メニューを検討された方がいい場合もあります。

最終的には実際に自転車の状態を拝見して、個別のお見積もりが必要になります。相場が分からないと不安な方もいらっしゃるかと思いますので、今回は車種別チャート表で概算の消耗品交換を伴う整備費用の「価格帯の目安」をまとめてみました。ご来店の際の参考にしていただければと幸いです。各コースお見積もり相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

※お知らせ

2023年4月「バイシクルサポート東東京」が江東区住吉にオープンしました。

店舗情報はコチラから

実は「お店でのメンテナンス」よりも大事な「セルフメンテ」のこと

「自分でどこまでメンテナンスをすればいいの?」。今回のブログは主に「スポーツ車」ユーザー向けのアドバイスとなりますが、最近は外装ギア付き「一般車」も増えてきているので、そういった車種の方への参考にもなればと思います。

最初に前提としての解説ですが、自転車は「スポーツ車」と「一般車」の2つ分類されます。このワードは業界用語なので、消費者ユーザーの方々にはなじみがないかもしれません。

「スポーツ車」…ロードバイク、クロスバイク、MTBなどの主に「外装ギア」が付いているサイクリング用・レクレーション用・スポーツ競技用の自転車。ギアが付いていないピストバイクやBMXなども有り。

「一般車」…ママチャリという俗称で一般にしられている自転車のこと。販売店の店頭表示では「○○インチシティサイクル」などと書かれていたります。最近では電動アシスト付きモデルの普及シェアも高い。

部品規格上の違いの解説は割愛しますが、この2つの自転車は「メンテナンス上の特性」が全く異なります。実はココが凄く大事なポイントで、それぞれの特性を理解せずに使用していて、自転車をダメにしてしまっているケースをよく見かけます。

単純に解説すると、

「スポーツ車」⇒こまめなメンテナンス作業が必要な構造の部品構成

「一般車」⇒整備頻度の少ないメンテナンスフリーな部品構成

(※ただし、最近は「外装ギア」付きの一般車も増えてきているので、そういった仕様の一般車だと、スポーツ車に準じるメンテナンス頻度が必要です。)

といった理解でいいかと思います。

「外装ギア」は軽く速く走るために必要な部品
「一般車」でもこんなギアの場合は取り扱い注意

快適に長い距離を走るために作られる「スポーツ車」の場合だと、軽量であることが求められます。特殊な材質や加工方法を用いて軽量化すると「部品がデリーケート(ある意味弱い)」になって「価格が高く」なる、これは乗り物の部品ゆえの宿命と言えるでしょう。そのため消耗品の交換頻度も高く維持管理にコストがかかります。それに対して「一般車」の場合、屋外保管前提、お買い物や近隣駅まで等の移動手段が想定で実用性が求められるので、走りの性能より丈夫で錆びにくに重点を置いた部品構成です。この違いが両者の「メンテナンス性の違い」に大きな差がでる主な理由です。この特徴を正しく理解して取り扱うことがとても重要です。

もちろん「一般車」にも定期的なメンテナンス作業は必要ですが、「スポーツ車」にとっては整備作業がより重要になってきます。ロードバイクを購入してママチャリ感覚で使って、短期間で各所部品を傷めてしまっている残念なケースがあったりします。

以前のブログでもご案内しましたが、平均的な使用頻度の場合のおすすめのメンテナンス頻度の目安です。

日頃ご自身で行っていただく整備作業は「タイヤに空気を入れる」「チェーンに注油をする」「最低限の拭き掃除」の3点で基本的には十分です。それ加えて最低年に1回以上のショップ依頼での安全性確保のための点検作業&整備で維持管理。ここまでが、どなたにも行っていただきたいメンテナンス作業です。また、きれいに保つためには「洗車」作業を行っていただくのもおすすめです。夏シーズンなどは汗が車体についていることも多く、軽く水道水で洗い流しておく(ただし、その後は拭き上げ&注油必須)だけでもかなり違います。

こんな状態になってませんか?特に「スポーツ車」系のチェーンは注油をしないと必ず錆びてしまいます

「スポーツ車」ユーザーの場合、自転車の知識・整備技術がある方だと消耗品の交換などを自分でこなす方も多くいらっしゃいます。初心者であっても次のステップとして、 特に「タイヤ」「チューブ」交換作業だけはなるべくご自身で出来た方がいいかと思います。出先でパンクした時にその修理作業が自分でできると、サイクリング技術の幅が大きく広がります。それ以上は技量があれば自分で行ってもいいですし、無理であればショップに依頼する作業と考えていただくのが無難です。機械部品いじりも自転車の楽しみの一つですので、セルフメンテの線引きはかなり個人差のある分野です。

「スポーツ車」の日常管理でもう一つ重要なポイントが一つあります。「室内保管」で管理が可能かどうかの問題です。それによって「日常の自己点検」の実施頻度が違ってきます。「室内保管」によって日常整備の手間がかなり軽減できます。通勤用途等で屋外に置くことが多かったり、住宅事情でやむなく屋外保管だったりということもありますが、極論を言うと「室内保管」に勝るメンテナンス方法はありません。

やむを得ず「屋外保管」の場合、注油(特にチェーン)や掃除作業の頻度は「1か月に1回必須」+「雨の日の後は別途必ず」くらいの維持管理が本来必要です。

大切な愛車を長く使っていただくためには、お店での整備も重要ですが、それ以上にご自身での日常メンテナンスにかかっている場面が実際には多くあります。

ロードレーサーのフルメンテ料金の目安

いわゆる「オーバーホール」と言われる全体整備作業の料金目安のご案内です。特にスポーツ用途の方が多い「ロードレーサー」ユーザーにとっては性能維持のためにとても重要な作業です。※もちろん、クロスバイク・小径車・MTB、他の車種でも大切ですよ。

当店では「消耗品交換」+「基本整備」の『セットメンテナンス』コースもご用意しております。このコースは准「オーバーホール」といった内容です。詳しくはコチラ一般的に消耗しやすい部品交換を中心としたパーツ代金込みのパッケージ作業としてご提供しています。そのため割引料金設定でお得ですが、必ずしもすべての整備作業を網羅しているわけではありません。自転車の状態によっては、もっと踏み込んだ「オーバーホール」作業がおすすめの場合もあります。

整備作業箇所の比較表です。⇓

「セットメンテナンス」コースは、クロスバイクなどのドロップハンドル以外の車種も共通で料金設定をしているため「バーテープ交換」が含まれませんので、バーテープ交換費用追加で、おおよそ「3万円」程度がロードレーサーの場合の目安となります。また、最近は「油圧式DISCブレーキ」のロードレーサーも増えてきていますが、その場合は1万円程度のアップチャージが必要なケースも有ります。以前もブログでご案内していますが、このコースは業界最安の価格帯&早い仕上がり納期が売りのコースメニューです。

では、「オーバーホール」の場合の

作業内容の違い/追加される作業項目は、

  • すべてのパーツ交換作業工賃が38,500円にすべて含まれる
  • 回転系部品の分解グリスアップ作業を実施
  • ただし、パーツ代金(消耗品も)はすべて別途料金
  • 各部品の状態を順次判断→パーツ発注手配のため納期がやや長くなる

といった点になります。

ハブ、ヘッドパーツ、ボトムブラケット、の分解整備も行います。状態を見て必要があればベアリング等のスモールパーツを手配して交換作業をします。

□走行距離の長い人

□回転系部品に不具合が出ているケース

□新車の性能により近づけたい人

□古いロードレーサーを復活させたいケース

□購入後全くメンテせずに長い期間過ぎてしまった人

「オーバーホール」作業はこんなケースの方に検討していただけるとよいでしょう。

実際に自転車の状態を拝見させていただければ、「オーバーホール」「セットメンテナンス」どちらがいいかを判断いたしますし、もちろん、ご予算に合わせて個別にアレンジして御見積りも可能です。各部品の消耗具合の程度、部品のグレード、によって整備費用に幅はありますが、標準的なロードレーサーでフルの「オーバーホール」作業の場合、「5万円~」が総額費用のミニマムの目安になる場合が多いです。具体的には自転車をお持ち込みいただければ、詳細を見積もりますので、お気軽にご相談下さい。

初めて購入したロードバイクが油圧ディスクだった方へのアドバイス

※写真はイメージです。
特定のモデルの話題ではありません。

初めての「スポーツサイクル」。ロードバイクでもクロスバイクでも一般のシティサイクルと異なる特殊な取り扱い方法があって、苦労されている方も多いかと思います。ただでさえ初心者には難しいのに、とくに最近のトレンド「ディスクロード」に関しては正直「ちょっとハードルを上げすぎでは」と個人的には思うところがあります。

ロードバイクのブレーキのシステムが従来の「リムブレーキ」から「ディスクブレーキ」に主流が急速に移行しています。

■「リムブレーキ」モデルと「ディスクブレーキ」モデルの両方をラインしているメーカー

■「ディスクブレーキ」モデルしかラインナップがないメーカー

後者の完成車メーカーの方が圧倒的に多くなっています。

どのくらいラインナップが増えてきているのかというと、実際には「街乗りモデル~エントリーモデル」ではリムブレーキがまだまだ一般的です…、と言いたいところですが、スポーツユースで購入する「エントリーモデル(シマノ仕様でいえば105装着モデルあたり)」クラスになると、実際には「ディスクブレーキ」モデルが非常に多くなってきています。そうすると必然的に「初めて買ったロードバイクが油圧のディスクロード」となってしまいます。

これまでオーソドックスなリムブレーキ仕様のロードバイクに乗っていた方が2台目以降で「ディスクロード」に乗り換える場合は基本ができているので「応用編」として「ディスクロード」でもそれほど難しくないとは思います。急がば回れで少しずづ基本からマスターしていけば、それなりに理解していける構造です。

取り扱い方法が難しいのは確かに否めませんが「初心者にとってメリット」が多いのも「ディスクロード」です。「ディスクロードは難しいからやめた方がいいよ」という考えでは私は決してありません。基本的な整備技術をちゃんと習得して正しく扱えれれば、恩恵(とくに安全性の面の貢献)の方が大きいと思っています。

<ディスクロードの初心者にとってのメリット>

  • 油圧モデルであれば、少ない力でブレーキ操作ができる
  • 油圧モデルであれば、メンテナンスの頻度が少なくて済む
  • 制動力が安定しているので、初心者でもコントロールしやすい

もちろん、これらのメリットは中上級者でもありがたいことですし、手の握力の強さでどうしても不利になってしまう女性ライダーにも大きなメリットと言えます。

※ディスクブレーキではケーブルでブレーキを引いて操作する「機械式」と呼ばれるタイプとブレーキ内部に密閉されたオイル(フールド)で操作する「油圧式」とよばれるタイプがあります。前述の「105」なども含め中級グレード以上では「油圧式」が主流です。

特に「油圧式」は構造的から学ぼうとすると難しくなりますが、シンプルに覚えるべきことは「下記の3点」です。※ディスクブレーキの詳しい構造解説は過去ブログを参照してください。

①初心者にはちょっと難しいですが「ホイールの脱着」の習得は必須

特殊な工具を使わずとも脱着が可能なのは従来の「クイックレバー式」と同じです。モデルによって個別の「コツ」的な物を掴む必要がある箇所ですので、実際にご自身のバイクで練習することが一番よいでしょう。スポーツサイクルを楽しむ上では必要な技術ですので初心者にはちょっと難しい作業ですがここは頑張ってマスターしましょう。※ホイールの脱着作業に不安があって周囲に教われる人がいない方、当店ではプライベートレッスン (有料) を承っていますのでご相談下さい。

②油圧モデルだとブレーキパッドが擦り減ってもレバーの引き量が変わらないため、目視でパッド残量の点検を

左/すり減ったパッド、右/新品のパッド

シマノのマニュアルではディスクブレーキパッド残量が0.5㎜以下で交換が必須とされています。リムブレーキだとブレーキパッドが擦り減ると、レバーの引き量が大きくなるので、操作感で減ってきていることに気付きやすいのですが、油圧式の場合は自動でレバーの引き量を調整してくれる機構になっているため意外とブレーキパットの摩耗に気づかない方多くがいます。目視でも判断できるので、定期的に確認をしましょう。

③輪行などでホイールを外して運搬する時は「パッドスペーサー」を活用しましょう

これは運搬時に多いトラブルです。 油圧式の場合、車輪を外した状態(ディスクローターが無い状態)でブレーキレバーを引いてしまうと、左右のパッドがくっ付いてしまって、再度車輪を装着できなくなる可能性があります。車輪を外しての運搬時には必ず、パッドの間に専用スペーサーを挟んでおきましょう。

それと当然ですが、専門ショップでの定期点検は必ず受けましょう。手間と費用を考えるとディスクブレーキは基本的なメンテナンス以外の専門的な技術が必要な箇所はショップに任せてしまった方が楽だと思います。逆に油圧ディスクの場合、日常のメンテナンス頻度が少なくてすむメリット(前述のブレーキパッドクリアランスの自動調整など)もあります。特徴を正しく理解して取り扱うことができれば、非常に優位性の高い優れたブレーキシステムです。

コンポーネントの載せ替え

今回はコンポーネント載せ替え作業のご案内です。「コンポーネント」とは自転車を構成する部品一式のことですが、一般的には「ブレーキ回り一式…ブレーキレバー&ブレーキキャリパー」と「ギア周り一式…シフトレバー、リアディレーラー、フロントディレーラー、スプロケット、クランクセット、ボトムブラケット、チェーン、(+ホイール)」を指す用語です。そして、フレームとコクピット回り(ハンドル、ステム、ヘッドパーツ)とサドル回りの部品を合わせて自転車が構成されています。

「コンポーネント」メーカーとして最も有名なのは、おそらくほとんどの方が知っている日本の「シマノ」。その他だと「カンパニョーロ」「スラム」などがメジャー。そして車種のカテゴリーごとに「グループ」がラインナップされています。ロードコンポの「シマノ・105(イチマルゴ)」「シマノ・アルテグラ」「シマノ・デュラエース」などと言ったモデル名は聞いたことがあるのではないでしょうか。今回は互換性の解説は割愛しますが、自分の自転車に何が使えるのかどのサイズを選べばいいのか互換上どの組み合わせが正しいのか、その辺りを確認して「コンポーネント」を選ぶ必要があります。

当店の105コンポーネント載せ替えオーダーシートのイメージ

完成車で自転車を購入すると、ロードバイクの場合「シマノ105仕様なら15~20万円」といった感じでおおむね相場によって採用されているコンポーネントが決まっています。もちろん、フレームがカーボンかアルミ、ディスクブレーキかリムブレーキ、などの要素でも価格帯は変わってきます。

  • クラリス
  • ソラ
  • ティアグラ
  • 105
  • アルテグラ
  • デュラエース

「シマノ」のロード・コンポーネントのグレード順です。「デュラエース」が最高峰グレードです。「値段がかなり違うけど、何が違うの?」って聞かれると、一言で説明できませんが、簡単にお答えすると「性能が違います。グレードが上がるほど当然よくなります。」ってことです。現在ご自身のバイクはどのグレードでしょうか。「コンポーネント」を上位モデルに載せ替えることで、自転車のパフォーマンスは当然良くなります。

「ソラ」がついているけど、「105」に載せ替えてグレードアップしたい、といういことが可能な訳です。

それと「コンポーネント載せ替え」の目的として多いのが、「メンテナンス」や「オーバーホール」をしても無理なケースです。とくにギア周りなど長く乗っていると部品自体が削れて摩耗してきます。ケーブルやチェーンなどの消耗品を交換しただけでは回復しないことも。そういった場合は「コンポーネントの載せ替え」作業が必要になります。

また、古いMTBクロスバイク(2~30年前の7段や8段仕様)のレストア作業として、載せ替えるケースもよくあるご相談です。この場合、比較的安いコンポーネントのカテゴリーなので、コンポ一式+工賃で3~5万円で可能なケースも多いです。ちょっと思い入れのある自転車だったりするので、新車の買い替えと比較しても妥当な費用なので、検討される方がいらっしゃいます。

載せ替え作業工賃…基本、個別見積もりです

さまざまなケースが想定されるので、実車を拝見してから、お見積もりさせていただきます。(参考)ロード系なら2.5~3万円、クロスバイクなら2万円前後、が作業工賃の目安。いずれも 油圧ディスクでない 場合。

≪只今、キャンペーン中‼≫

※「105」以上のグレードコンポーネント一式を当店でお買い上げの場合⇒作業工賃がサービス価格になります。

  • デュラエース一式購入時工賃⇒10,000円
  • アルテグラ一式購入工賃⇒10,000円
  • 105一式購入時工賃⇒12,000円

(税別)

注.いずれもリムブレーキ標準仕様の場合です。油圧ディスクや特殊な内装ケーブルルーティンの場合は別途費用あり。

ロードバイクのパーツをグレードアップする目的

入門クラスの初めて買った『ロードバイク』。デフォルトの仕様で乗りだしたけど、雑誌やインターネットの豊富な情報を見ていると、いろいろとパーツを替えてみたくなってきますね。そんな方にアドバイスです。何を基準にパーツを替えたらいいのかをまとめてみました。

★とにかく欲しい!!

まずは、モチベーション。いろいろ吟味して選ぶ場合もありますが、初心者の場合、自分が気に入ったパーツをまずは試してみましょう。とは言っても、あまりにも方向性が違ったらパーツが生きてこないので、最低限は調べてくださいね。

★見た目のカッコよさ

やっぱり、自分の自転車をカッコよくオシャレにしたいですよね。カラーリングを含めて見た目が気に入ったパーツを選ぶことも満足度に繋がります。一応、セオリー的なこともあります。「最近のカーボンフレーム…黒系の部品が似合う」「クラシカルなフレーム…シルバー系の部品が似合う」とか。また、採用する部品メーカーの組み合わせも、「チームレプリカ的考察」「ハンドルとステムは同じメーカーの同じモデルだとデザインが揃う」などなど。ただ、こういったセオリーにこだわらなくても、センス良く仕上げているバイクの方も多くいらっしゃいます。「自分なりのこだわり」でパーツを選んでみましょう。

★乗り手とのマッチング

初心者の方の場合、経験的な判断材料がどうしても少ないので、前述のように気に入った部品を試す感覚でパーツのアップグレードをした方が、満足度は高いかと思います。ただ、経験とともにパーツの特性を理解してくると、「乗り手の特徴=パーツの特徴」が噛み合っていることが、パーツ選択のポイントとして重視されてきます。

「このパーツで走った感じいいね」の感想でも人それぞれ「いいね」の基準が違います。「速く走りたい人」と「のんびり走りたい」とでは、当然パーツに求める要素も違ってきます。

「乗り手」とのマッチングを一覧表にすると、
こんな感じでしょうか。

例えば、「速く走りたい」目的なのに、「ブレーキ」を交換しても直接的には成果につながりません。初心者なのでビンディングペダルを使っていないという場合、ビンディングペダルを採用するだけでかなり効率的な走りができます。自分が不満を感じていることにフォーカスしてグレードアップしていくことが重要です。

★コストパフォーマンス

実際に採用するかの判断の基準になるのが対費用効果でしょうか。特に、「軽さ」「剛性」「速さ」あたりを求めると、乗り物の世界、すごくお金がかかります。選手供給しているようなハイエンドパーツはメーカーの開発コストもかなりかかってますし、自分で購入して使用する一般ユーザーにとっては大変です。

★家族の理解

そして、最大の難関がコレだったりします。お客様から「パーツ替えたこと家族に内緒にしといてね」とか「家族から、自転車の部品でなんでこんなにお金がかかるのって、言われた」等々の声をよく聞きます。趣味の世界、何でもそうですけど、実用の世界の基準と比べられるとつらいですね。

ロードバイクのパーツのグレードアップでご相談がありましたら、お気軽にご相談ください!!(もちろん、他の車種も)

「メーカーのセールスポイント」「雑誌やインターネットの情報」などの一般的な情報。「自分の経験値」「周辺(お客様や取引先の方々)からの実際の」この辺りの情報源があるのがショップならでは強みですので、一般的なインプレ論と経験的な感想は分けてお伝えするようにしています。